御嶽山 山香荘

増築を重ねた複雑な構造を一新

現地材料などを使用しながら再生

山香荘の建つ「御嶽山」は、東京の西、多摩川上流の御嶽山の山頂の御嶽神社を中心とした宿坊37軒によって構成される集落である。東の方向は、関東平野に開けており、約1000mの海抜から東京都心を含む首都圏の夜景を一望することができる。現在は、37軒のほとんどは、一般の「旅館」として経営されているが、かつては御嶽山神社を修行の場とする修行僧たちの宿坊であった。

この山香荘は、最も山頂の御嶽神社に近い宿坊のひとつで、施設としての歴史も大変古い。しかし、麓からの道路のアクセスが悪く、実際、軽自動車の四輪駆動車しかアクセスできず、そのためか、多くの建物の構造や素材、設備に制約が大きいようだ。

山香荘は、建物は古いが、増築に増築を重ねた大変複雑な状況にあった。今回の工事の範囲は、主に機能する玄関ホール、ラウンジを実現することであった。工事のために解体を始めて初めてその構造や構成、設備の状況がわかり、そこからまた新たに考えるという手間のかかるプロセスであったが、関東平野の大パノラマを見せる、夜ゆっくりしてお茶やお酒を楽しめる空間を、という明快な設計条件があったこともあり、統一素材として選んだ蘆簾(よしず)や、現地に多く所蔵されていた古民具や古家具などが、空間造りに大いに役に立った。

所在地

主要用途

建築設計

建築施工

工事種別

構造規模

竣工

東京都青梅市御岳山

旅館

株式会社アカデメイア

小高義行

改修

木造2階建て 1階部分

2006年12月

写真撮影/齋部 功

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